地区の交通事故リスクの評価検討

背景とねらい

地区の安全性向上のために、交通事故が起こりにくくするための様々な基盤施設・システムの検討が行われています。ただ、これらの施策の実施効果を評価することには、いくつかの課題がありました。通常、デジタル道路地図をベースとする交通量等のデータは、主要な道路だけしか得られないため、生活道路などの細街路については分析対象になりにくいという問題がそのひとつでした。

Space Syntaxの貢献

スペースシンタックスは、地図さえあれば、それぞれの場所の位置的、空間的な特徴を定量化し、交通量データ等を代替する指標化を行うことができます。これにより、場所ごとの事故リスクを推定するモデルを構築することが可能になります。このモデルを用いて、安全対策の評価等を行うことができました。

成果

実際の交通事故データをもとに、事故3類型(追突、右折直進、出会い頭)ごとの事故リスクの大きさを交差点ごとに推計するモデルを構築しました。このモデルを別の都市で適用し、実際の事故多発地点情報と比較することにより、モデルの有効性を検証しました。なお、このテーマについては、以後、千葉工業大学を中心に継続的に研究がなされています。

技術資料

道路網の位相幾何学的評価尺度を導入した交通事故リスク推計モデルの構築, 交通工学, Vol.44, No.1, pp.54-62, 2009年1月.

共同者

千葉工業大学(赤羽弘和教授)
株式会社 アイ・トランスポート・ラボ(堀口良太氏)
株式会社 トラフィックプラス(南部繁樹氏)

年次

2007年度

tip7

A  追突事故の実際の多発地点(左)と地図データの空間構造を解析して求めたリスク分布(右)

A  追突事故の実際の多発地点(左)と地図データの空間構造を解析して求めたリスク分布(右)

B  出合頭事故の実際の多発地点(左)と地図データの空間構造を解析して求めたリスク分布(右)

C  右折直進事故の実際の多発地点(左)と地図データの空間構造を解析して求めたリスク分布(右)